七村優記事件詳細
本件非行
1 事実
令和4年9月12日14:25頃、宮泉市内のネットカフェ「ラク楽ルーム宮泉店」にて、当時星章高等学校2年生16歳の少年「七村優記」は、インターネット掲示板を利用して、デバイス使用時に障害を発生させるプログラム(以下、デバイス破壊システム)を拡散した。このプログラムは少年が自作したウイルスであり、デバイスを正常な状態に戻すためにはシステム修復料の支払いが必要となる仕組みであった。システムの要求に従い少年に金銭を支払った被害者の総数は3862名。被害総額は1億9000万円にのぼった。
2 本件非行時の行動及び状況
令和4年9月12日13:00頃、少年は「ラク楽ルーム宮泉店」に入店。個室のPCからVPNに接続し、インターネット掲示板にアクセスした。少年は持ち込んでいたUSBメモリからデバイス破壊システムをPCに移行し、海外サーバーにアップロードした。14:25頃、少年はインターネット掲示板に、システムの自動ダウンロードリンクを記載した書き込みを開始。6件のサイトに対し、計35件の書き込みを行った。
3 送致機関及び関係機関の意見
少年には、貧困の状況により高校への進学を断念した従妹が存在した。従妹を支援したいと考えた少年は、アルバイトがしたい旨を母親に相談したが聞き入れられず、無断でアルバイトを始めた。しかし、この件を母親に知られ退職を余儀なくされたことから、少年は母親に対して敵愾心を抱くようになった。
少年は、令和4年7月頃にデバイス破壊システムの詳細な計画を練り始め、本件に使用したプログラムの作成に着手した。少年が企図した調達金額は、従妹の入学金に相当する50万円程度だったが、プログラムが想定外に拡散したため被害も拡大した。
本件において、少年の行為に親族との関係が影響している点は考慮すべきである。しかしながら、本件の被害から精神的に追い詰められ自殺を図った被害者も存在し、手口は極めて悪質である。社会に不安を与えた罪も看過できないものであるため、本件は不正指令電磁的記録供用事件として処理し、当該少年を少年院へ送致すべきと考える。
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